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「税理士による相続人にやさしい相続税のページ」は、税理士 永野智一氏と提携して運営しております。 本ページの記載内容に関するご質問や相続税のご相談は、下記にて直接お問い合わせください。(相談料は無料です)
税理士による相続人にやさしい相続税のページ (平成26年以前)
7. 相続で必要になると思われる主な手続きのご紹介
ここでは、相続が開始したときに必要と思われる主な手続きをまとめてみましたので、いざという時の参考にしてください。なお、相続税の申告をしない場合には、徴収額に対して15%の無申告加算税が、税務調査後であれば過少申告加算税10%または重加算税35%が課せられます。また、相続は人の死亡と表裏一体のことですので、税務署は正確に把握していると考えてください。税務調査が入るのは無申告や相続税の申告内容がわかりにくいケースが多いときといわれています。相続手続きをしっかりしていないと、不動産の売却などの際にも困ることになります。必要な納税手続きは国民の義務とお考えいただくとよいと思います。正しい申告をしておけば、税務調査は怖がるものではありません。
参考までに、現在の相続税が課せられる件数は、相続全体の4%程度(約4万件)ですが、改正税法が施行されますと、約70%増しの6~7%程度(約6.5万件)になるといわれております。
(1) 相続後の早い段階での手続き
① 遺族年金等の請求書
→ 年金事務所に死亡診断書、年金請求書などを提出
② 埋葬費用の請求
→ 市区町村や健康保険組合などに死亡診断書、埋葬料などの請求書を提出
③ 準確定申告書
→ 被相続人の住所地を管轄する税務署に相続人が連名して準確定申告書を提出
(2) 遺産分割後の手続き
① 不動産の所有権移転登記
→ 登記所へ遺産分割協議書、被相続人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本などを提出
② 預貯金や有価証券の名義変更
→ 金融機関や証券会社へ名義書き換え請求書、被相続人の除籍謄本、
相続人の戸籍謄本、遺産分割協議書などを提出
③ 相続税の申告書
→ 被相続人の住所を管轄する税務署に相続税の申告書、被相続人の除籍謄本、
遺産分割協議書などを提出
(3) 被相続人が事業を行っていた場合
忘れがちな手続きに、相続人が被相続人から事業を承継した場合には、次の届出書を税務署に提出する必要があります。基本的には、個人が新規に事業を開始した場合と同様になりますので、注意してください。
① 所得税法上の手続き
→ 個人事業の開業の届出書、所得税の青色承認申請書、
青色専従者給与に関する届出書、減価償却資産の償却方法の届出書、
たな卸資産の評価方法の届出書など
② 消費税法上の手続き
→ 消費税課税事業者届出書、相続等により課税事業者となる場合の付表、
消費税課税事業者選択届出書、消費税簡易課税制度選択届出書など
(4) 効率よい手続きに関するアドバイス
ここでは、相続が発生したのち、相続人が手続きを効率よく進めるためのアドバイスを記載して、『相続人にやさしい相続税のページ』のまとめといたしますので、いざという時に役立てていただきたいと思います。
いうまでもなく、いちばん大切なことは、不幸にしてお亡くなりになられた方が、公正証書による遺言書を残しておくこと、そして、その遺言書にご家族が幸せになるための添え書きが残されていることです。
~専門家の手を借りる~
親や配偶者がお亡くなりになると、遺族の方にはお金にかかわるたくさんの手続きがでてきます。遺族年金などの年金の手続き、不動産、株式などの有価証券、預貯金などの相続に伴う名義変更、相続税の申告書の提出、被相続人が事業を行っていた場合における準確定申告などで、その提出先もすべて異なりますので、相続人にとってはたいへんな苦労を背負うことになります。相続税が課税されるほどの財産を残された方や、準確定申告を行うようなケースでは、そのすべての手続きを終えるのに一年近くかかるともいわれています。
そこで、できるだけ、これらの手続きを効率よく進めるために専門家の活用をお勧めいたします。
① 司法書士の活用
公正証書による遺言書の作成や土地、建物などの不動産の名義変更の手続きは、添付書類も多く専門的になりますので、司法書士に依頼するのが便利です。通常の不動産の登記手続きでも司法書士に依頼するのが一般的ですので、相続手続きの場合には、より確実に速やかに進めるのがよいと考えるためです。
② 税理士の活用
被相続人の準確定申告や相続税の申告は税理士に相談することをお勧めいたします。
前述のとおり、課税遺産総額が4人家族で8000万円以下の場合は相続税の納付がありませんが、居住用の小規模宅地の減額の適用を行ったうえでの8000万円以下であれば、申告書を提出する必要があります。申告書を提出しない場合でも専門家に相談しておいた方が良い場合があると考えています。また、配偶者の相続税額の軽減の規定を適用するためには、申告書の提出と遺産分割が要件となります。
そして、準確定申告書の提出は、通常の確定申告書の提出よりも手間がかかることを承知しておいてください。そのうえ、被相続人が事業や不動産賃貸などを行っているケースでは、相続人が事業内容に関与していないと申告自体が困難になる恐れが出てきます。このような意味でも、相続人のどなたかに事業概要を理解させておくことも必要です。
③ 土地家屋調査士・測量士の活用
土地を評価する場合の面積は、登記簿面積ではなく実測面積によることとされています。宅地開発された土地は登記と実測の面積が異なることはあまりないと思いますが、広い土地(広大地)や農地・山林などは大幅に違う場合がありますので、場合によっては土地家屋調査士などにお願いして測量することがあります。この測量の有無の判断は司法書士や税理士に相談してみてください。
④ 社会保険労務士の活用
遺族年金の請求手続きは意外と手間のかかるものです。遺族年金は相続人が年金事務所などに一定の書類(前述)を揃えて申請する必要があり、受給できるまで3~4ヶ月程度かかります。申請の手間が面倒とお考えの方は、社会保険労務士をご活用ください。